

訪問介護のサービス
訪問介護のサービス内容
- 訪問介護のサービス内容
訪問介護のサービスは、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等のための乗車・降車等介助」の3つに分類されます。


1.訪問介護のサービス内容
訪問介護のサービスは、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等のための乗車・降車等介助」の3つに分類されます。
1.
身体介護
利用者の身体に直接触れて行う介助サービスです。専門的な知識と技術が必要とされます。
食事の介助: 食事の摂取を手伝います。
入浴の介助: 全身浴、部分浴(手浴、足浴)、清拭(体を拭く)などを行います。
排泄の介助: トイレへの誘導、おむつ交換、ポータブルトイレの利用支援などを行います。
着替えの介助: 衣類の着脱を手伝います。
体位変換: 床ずれ(褥瘡)を防ぐために、体の向きを変えます。
移乗・移動の介助: ベッドから車椅子への乗り移りや、室内での移動を手伝います。
その他: 服薬の介助、口腔ケア、爪切りなど、必要に応じた介助を行います。

2.
生活援助
身体介護以外の、日常生活を送る上で必要な家事を援助するサービスです。利用者が自立した生活を送れるように支援することが目的であり、利用者ができない部分を補う形で行われます。
掃除: 居室、トイレ、浴室など、利用者が日常的に使用する場所の掃除を行います。
洗濯: 衣類の洗濯、乾燥、取り込み、収納を行います。
調理: 利用者の健康状態や好みに合わせた食事の調理、配膳、後片付けを行います。
買い物: 日用品や食料品の買い物を代行します。
その他: 薬の受け取り、ベッドメイキングなど。
【注意点】
生活援助は、あくまで利用者本人への援助が目的です。そのため、以下のようなサービスは原則として提供されません。
大掃除や窓拭きなど、日常的な家事の範囲を超えるもの
利用者以外の家族のための家事(家族の部屋の掃除、家族の分の調理など)
草むしりやペットの世話など、日常生活の援助の範囲を超えるもの

3.
通院等のための乗車・降車等介助
利用者が通院などのために、訪問介護員の運転する車両への乗車・降車、およびそれに伴う移動の介助を受けるサービスです。
乗車・降車の介助: 車両への乗り降りを安全に行えるように介助します。
移動の介助: 自宅の玄関から車両まで、車両から病院の受付までの移動を介助します。
受診手続きの援助: 病院での受付や会計の手続きを援助します。

2.訪問介護を利用できる方
訪問介護は、介護保険制度に基づくサービスです。利用するためには、お住まいの市区町村から「要介護認定」を受ける必要があります。

要介護1~5の方
身体介護、生活援助、通院等のための乗車・降車等介助を利用できます。

要支援1・2の方
介護予防訪問介護(介護予防・日常生活支援総合事業)を利用できます。身体介護はなく、生活援助が中心となります。
3.ご利用開始までの流れ
訪問介護サービスを利用するまでの一般的な流れは以下の通りです。
相談・申請
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口や、地域包括支援センターに相談します。そこで要介護認定の申請手続きを行います。
要介護認定
市区町村の認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態について聞き取り調査を行います。また、主治医の意見書も参考に、介護が必要な度合い(要介護度)が判定されます。
ケアプランの作成
要介護認定の結果が出たら、ケアマネジャー(介護支援専門員)にケアプランの作成を依頼します。ケアプランとは、どのような介護サービスを、いつ、どのくらい利用するかを具体的にまとめた計画書です。利用者の希望や心身の状態、生活環境などを考慮して作成されます。
要介護1~5の方: 居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成します。
要支援1・2の方: 地域包括支援センターの担当者が作成します。
訪問介護事業者との契約
作成されたケアプランに基づき、サービスを提供してくれる訪問介護事業者を選び、契約を結びます。複数の事業者から説明を聞き、比較検討することが大切です。
サービス開始
契約後、ケアプランに沿って訪問介護サービスの利用が開始されます。
4.訪問介護のメリット・デメリット

メリット
住み慣れた環境で生活を続けられる: 最大のメリットです。環境の変化によるストレスが少なく、精神的な安定につながります。
利用者や家族の負担軽減: 介護による身体的・精神的な負担を軽減できます。
個別のニーズに合わせたケア: ケアプランに基づき、一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかなサービスを受けられます。
専門家による安心感: 介護の専門家であるホームヘルパーが関わることで、安心して在宅生活を送ることができます。

デメリット・注意点
プライバシーの問題: 他人が自宅に入ることへの抵抗感を感じる方もいます。
家族の不在時の不安: 24時間体制の施設とは異なり、夜間などヘルパーがいない時間帯の緊急時に不安を感じることがあります。
相性の問題: ヘルパーとの相性が合わない場合、精神的なストレスになる可能性があります。相性が合わない場合は、事業所に相談して担当者の変更を依頼できます。
提供できないサービスがある: 前述の通り、医療行為や利用者本人以外へのサービスは提供できません。
安心してサービスを利用するためには、信頼できる事業者を選ぶことが非常に重要です。以下の点を参考に、慎重に選びましょう。
説明の丁寧さ: サービス内容や料金について、分かりやすく丁寧に説明してくれるか。質問に対して誠実に答えてくれるかを確認しましょう。
実績と評判: 事業所の運営実績や、地域での評判を調べてみましょう。市区町村の窓口やケアマネジャーに相談するのも良い方法です。
ヘルパーの質: 研修制度が充実しているか、資格を持ったヘルパーがどのくらい在籍しているかなどを確認しましょう。
緊急時の対応: 夜間や休日など、緊急時の連絡体制や対応について確認しておくと安心です。
複数の事業所を比較する: ケアマネジャーに複数の事業所を紹介してもらい、それぞれの説明を聞いて比較検討することをおすすめします。
訪問介護は、高齢者が尊厳を保ちながら自分らしい生活を続けるための心強い味方です。この情報が、あなたやあなたの大切なご家族にとって、より良い在宅介護を実現するための一助となれば幸いです。